コラム・ニュース
(今日の一言)心配な欧州景気
2018年10月25日 18:00
コラム
昨日のユーロ圏製造業PMIは52.1と非常に低い数字でした。2017年は55を割り込むことはなく、12月には60.6でした。2018年はただただゆっくり低下しています。大幅減税から猛烈な経済成長を見せている米国とは好対照です。
また、欧州の低迷は中国経済の低迷を暗示しているのかもしれません。欧州製の高級品は、中国が最大のマーケットです。しかし、欧州も中国も良くないとすれば、タイムラグを置いて、米国経済にも影響を与えます。日本にも来るでしょう。この先、バラ色の経済というより、どちらかというと景気後退が待っているのではないか、そう感じさせる、欧州PMIの数字でした。
(今日の一言)上手く立ち回るエルドアン大統領
2018年10月24日 16:00
コラム
ほんの数ヶ月前までは、中央銀行を批判し、トルコリラ暴落の「主犯」だったエルドアン大統領ですが、ブランソン牧師開放以降、非常に上手に立ち回っている様に見えます。サウジアラビア人ジャーナリスト、カショギ氏殺害事件に関して昨日演説を行いましたが、音声データ等、決定的な証拠は何一つ提示しませんでした。
本当に無いのか、あるのに出さないのか、わかりませんが、もしかしたら、サウジ政府と裏で何らかの取引を行った可能性はあります。事件後、強行な態度だったサウジは急に柔軟となり、禁輸でまたオイルショックを起こしかねない雰囲気だったのが、増産に協力的な態度を示し、原油価格は下げてます。
また、この一連の捜査で米国はトルコ政府に対し非常に「協力的」と謝意を表明しています。対米関係が良好になれば、トルコへの投資は自然と戻ります。20円を買うのはさすがにどうかと思いますが、19円前後、もしあれば18円台への軟化があればトルコリラロングを考慮したいなと思います。
(今日の一言)共和党はトランプ大統領を利用している
2018年10月23日 18:00
コラム
先日、BSフジ「プライム・ニュース」にエドワード・ルトワック氏が出演してましたが、トランプ大統領をどう思うかと質問され「革命的だ」と最上級の評価をしました。とにかく変化を好む、これが素晴らしいとのことです。キッシンジャー氏もFT紙とランチをするという企画で同様の質問をされたとき「もっと時間をかけてしっかりと考えてから答えたいが。。。」「時代の転換期に必然的に登場する役割を持っている」と95歳の稀代の戦略家も高評価しました。
事実、世界は大きく変化してます。ペンス副大統領のハドソン研究所における演説でその方向性がはっきりしました。この変化は、ベルリンの壁が崩壊したときに似ているなと感じます。その後、ソ連は消滅し、新しい時代になりました。中国が消滅するとは思いませんが、共産党政権が倒れるところまでは行くのでしょう。そうなると、けっして今後平穏な世界ではないと思います。
(今日の一言)好景気と為替変動率
2018年10月22日 13:30
コラム
最近米国に行く人が必ず口にするのは「とにかく景気が良い」。経済統計にも景気の良さは現れてますが、実感する景況感はそれ以上のものもあるようです。リーマンショックを完全に克服したと言えるでしょう。
景気が良いと為替がよく動くかと言うと、そうでもないというのが経験則です。前回、景気が良かった局面と言えば、サブプライム全盛の2006年前後でしょうか。ドル円はとにかく動きませんでした。動かないことを逆手に取った「キャリートレード」全盛期で、それまでは1ヶ月の変動率(ボラティリティ)が8%を割り込むことはほとんどなく、8%割れはとにかくボラティリティを買っておけば儲かるというのが経験則でしたが、2006年頃は低ボラティリティがずっと続き、周囲は好景気なのに自分の為替収益はさっぱり、非常に焦りました。
今年も「好景気だが、為替はさっぱり」という年です。2006年の時にはその後リーマンショックがやってきました。今回はどうなるのかわかりませんが、そのうち動き出すと信じることにします。
(今日の一言)米為替報告書
2018年10月19日 17:00
コラム
これまで円に関しては、「実質実効為替レートは過去20年の平均に比べ25%近く安い」等の記述があったのですが、今回は抜けてます。だからといって、円が割安でないという認識ではないでしょうが、少し手加減してもらっている感じはします。
一方、中国人民元に関しては少し特別扱いになってますので、次回以降はいつでも為替操作国認定できそうな状況になってます。米外交政策の舵が大きく切らましたが、こんなところからも感じられます。
(今日の一言)注目浴びる、米中間選挙
2018年10月18日 12:00
コラム
米中間選挙で盛り上がった記憶はあまりありません。2014年の時は、その直前に黒田総裁による金融緩和第2弾、いわゆる「バズーカ2」が炸裂し、ドル円は120円台へと吹っ飛んで行きました。2010年の時は、オバマ大統領への信任投票という意味もありましたが、リーマンショックの傷が癒えてない状況だったので、「政治より経済」でした。
今回はトランプ大統領という、異端政治家に対する信任投票の意味があります。大統領就任直後は「トランプ・ラリー」となりました。今回も、共和党大勝の場合、似たような動きになるのでしょうか。民主党が大勝したら、今度はまた「弾劾」という言葉がちらつき始めます。現在の予想では下院は民主党が奪還、上院は共和党が多数を維持となりそうですが、選挙は水もの、結果次第では荒れそうです。
(今日の一言)先月の外債大幅買い越し、主体は銀行
2018年10月17日 16:00
コラム
9月の対内対外証券投資で、本邦機関投資家は外国の中長期債を4.5兆円と大量に買い越ししました。その内訳が注目でしたが、結局そのほとんどは銀行で3.7兆円の買い越しでした(過去最高)。生保・信託の比率が大きければ、為替ヘッジなしの投資が増えたと判断できるので、強い円安要因と言えたところですが、銀行の場合、為替リスクを取りません。9月の数字に驚きましたが、少し先走りでした。
しかし、米国には長短金利差がほとんどない状況なので、何に投資したのかが興味あるところです。おそらくまだ金利差のある欧州中心でしょうか。それでも、なぜ9月の第2,3週に集中したのか不思議ではあります(予算消化のため?)。
これまでのところ、今年の円売りを支えているのは積極的なM&Aを手がけた事業会社です。機関投資家がもう少し積極的になれば、もっと円安が進むのですが、そういう状況にはまだないようです。
(今日の一言)5兆ドルと20兆ドル
2018年10月16日 17:30
コラム
1995年は円高に見舞われた年ですが、その年の日本の名目GDPは512兆円、1ドル80円で計算すると6.40兆ドルでした。米GDPは7.66兆ドル。日米GDPが最も接近した瞬間でした。少し距離がありますが、もし1ドル66円まで円高が進んだら、日米GDPが逆転してました。
それから約20年、日本の名目GDPはいつ見ても500兆円ちょっと、要は5兆ドルぐらいです。今年は555兆円ですが、1ドル112円で計算すると4.95兆ドル。一方の米国は20.4兆ドル。もう少しで同じGDPだった経済が、4倍もの差がつきました。冷静に数字で見ると唖然とします。いろいろ要因はあるのでしょうが、どうも解せません。一人ひとりの能力がそんなに変わるとは思いませんし、我々もサボってたわけではありません。
一つの要因は人口の違いでしょうか。米国はこの間、2.66億人から3.28億人と6千万人も人口が増えました(日本の人口はほぼ変わらず)。しかし、20%程度の違いで4倍もの差は説明できません。しかも日本の人口減少はこれから本格化します。
この日米の差が一時的なもので、何らかの形で縮まるとするならば、急激な円高になるか、それとも突然インフレになって名目のGDPが増えるしかありません。どちらもすぐには起こりそうには見えませんが、何か大きな変化が待っているのかもしれません。
(今週の一言)為替条項
2018年10月15日 14:00
コラム
ムニューシン財務長官「これからの貿易交渉では、どの国とも為替問題を協議していく。日本を例外にすることはない」と発言、ついに日本にも「為替条項」適用かと、週明けのマーケットを固唾をのんで見守った人も多かったのではないでしょうか。
50銭ぐらいはギャップをあけて円高になっているのかと思いきや、週明けのマーケットはいたって平穏です。先のUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)では、いわゆる為替条項は「為替介入を含む競争的な通貨切り下げを自制する」という文言になってます。これだけを見れば、まあ常識的です。しかも非常に曖昧です。どのような行為をもって通貨切り下げと言うのか、定かでありません。
G7に参加するような大国が為替介入や口先介入で持って通貨安にすることは、今もやってはいけない事になってます。しかし、自国経済を刺激するための金融緩和の結果、通貨安になってしまうことは容認されてます。金融政策にもタガをはめるような条項であれば、断固反対しなければなりませんが、上記の文言にとどまるのであれば、今の所影響は限定的でしょうか。将来、更に通貨安が進んだりした場合、心理的な重しにはなるかもしれませんが、そのうち単なる「お題目」とみなされるようになるかもしれません。
ただ、ここまで米政権が為替相場に熱心だと「強いドル政策」(これも単なるお題目になってますが)って何だろうかと思いますし、米国は事実として世界最大の債務国ですから、何かの拍子にドル急落のリスクは常に抱えています。今は米国が強すぎなので問題ないですが、ドル急落リスクに対して無警戒過ぎないか、と心配になります。
(今日の一言)腰砕け
2018年10月12日 17:00
コラム
ペンス副大統領は格調高く、断固とした口調で、中国に対し「宣戦布告」しました。ところが大将は、株がちょっと落ちただけで狼狽し、ヒステリックにFRB議長を非難、習近平との会談をセットアップし、中国に対する「為替操作国」認定を取りやめしました。「為替操作国」に認定するかどうか、別に昨日言う必要はなかったのですが、なんとしても中間選挙前の株価下落を防ぎたかったのでしょう。
おそらく、中国に対してより強硬な態度を持っているのは、ペンス副大統領や共和党首脳部、エスタブリッシュメント側の方です。トランプ大統領は、貿易問題は所詮ディールの一つと考えているわけです。となると、エスタブリッシュメント側がトランプ大統領を単に利用しているのであって、逆ではないということです。
また、中国側も米国の弱点がどこにあるのかわかりました。ガチンコで交渉しても不利になるだけですが、今回のように株価が急落したり、経済危機の恐れが出てくると、急に日和るわけです。今回の株価下落は、現状レベルで終わるのか、もっと深いところがあるのかわかりませんが、株価を急落させることが対米カードになると言うことは、はっきりしました。今後も重要な局面で、株価が不意に急落するということが何度も出てくるかもしれません。
(今日の一言)中国に対する共同幻想
2018年10月11日 14:30
コラム
米国株が急落しました。これまで米国株相場を支えてきた大きな要因の一つに巨額の自社株買いがありますが、通常決算発表前の一ヶ月自社株買いはストップします。今はその時期にあたります。また、歴史的に9月10月は株価が下げやすい期間でもあります。
ただ、それだけでは株価下落のタイミングを読むことは難しいです。やはり先日「今日の一言」でも書きましたが、ペンス副大統領の「政権の対中政策」演説が大きかったのだと思います。実質的に静かな対中(貿易・覇権)戦争が始まった以上、金融市場が多少血を見るのは致し方ないでしょう。ペンス副大統領の硬い表情はその覚悟を物語っていました。また相手(中国)としても、米国の一番脆弱なところ、金融市場を狙うのが一番効率が良い。リーマンショックのような経済危機が訪れたら、関税引き上げどころではないでしょう。
すみません、この最後の(また~)からの部分は僕の妄想です。そうなると言っているわけではありません(念の為)。しかし、米ヘッジファンド、グリーンライト・キャピタルのデイビッド・アイホーン氏は中国からの対抗措置を懸念してアップル等の持ち株を売ったと言ってました。同様な「妄想」に駆られるトレーダーは少なくないので、見えない敵に対する共同幻想から株価が更に下落する局面があったとしても不思議ではないでしょう。
(今日の一言)近づく米中間選挙
2018年10月10日 19:00
コラム
次のマーケットの焦点は米中間選挙!ということで、米中間選挙に関する問い合わせが多くなってます。今のところ、下院は民主党優勢、上院は共和党が過半数を維持するのではないかとの観測です。その場合、現状の上下院を共和党が支配している状況から後退するので、少しドルが売られるとの見方もありますが、あまり変わらない気もします。USMCA等の条約批准は、今後混乱するかもしれませんが、肝心の税制改革は去年既に成立し、貿易問題は大統領の一存で結構進めることができます。
リスク(チャンス?)としては、下院も共和党が勝つケースでしょうか。カバノー新最高裁判事就任を巡っては過去の暴行疑惑を告発する方々が次々と登場し、民主党有利に動いているように見えましたが、実は民主党側がフォード氏の告発を随分前に受けていたのに民主党側が政治的に利用したという経緯が明らかとなり、民主党の勢いが削がれてます(フォード氏はカバノー氏が推薦されないように事前に告発したのに、推薦後に公表され政治的に利用された)。仮に下院が共和党勝利となると、第2のトランプラリーとまでは行きませんが、ドルは強いと思います。
(今日の一言)ペンス副大統領、中国に「宣戦布告」
2018年10月9日 15:00
コラム
ペンス副大統領が硬い表情で「政権の対中政策」というスピーチを行いました。
https://www.hudson.org/events/1610-vice-president-mike-pence-s-remarks-on-the-administration-s-policy-towards-china102018
トランプ大統領ではなく、ペンス副大統領が行ったことが大きい。すなわち、共和党中枢の考え方であるということです。反響は非常に大きく、対中政策をはっきり転換させたことを明確にしてます。今後、長期間に渡って、中国との覇権戦争が続くことになるのでしょう。戦争なので、少々マーケットが崩れても構わないと米政権は思っているということだと思います。
(今日の一言)暗黙の日米合意
2018年10月5日 17:00
コラム
ドル円が115円の節目に差し掛かり、やはりというか、昨日「日銀、金利上昇を容認」というニュースが流れてドル円が落とされました。昨年から115円が近づくと天井を打つパターンが続いてます。人によっては「ムシューシンシーリング」という言い方をする人もいますが、やはり何らかの形で日米で105-115円ぐらいで収めることで、為替を政治問題化しないようにしようという「握り」「合意」があるような感じにさせられます。
安倍首相が自民党総裁選のときに口を滑らしましたが「トランプ大統領は為替で日本を攻撃したことはない」「トランプタワーで為替はふれないようにしようと話し合った」と言いました。115円で円安を止める責任が日本側にはあるのでしょう。だから量的緩和政策をとことんまで突き進めるとも言わなくなりました。
そうであれば、105-115円のつまらないレンジ相場がしばらく続くことになりますが、そうは言っても相場なのでいつまでも固定できません。どうなるか注目ですね。
(今日の一言)訂正
2018年10月4日 19:00
コラム
昨日アマゾン・プライム会員の年会費が米国では99ドルと書きましたが、間違っていました。119ドルでした。申し訳ありません。そうなると、アマゾンの考えるドル円レートはもっと円高方向で、1ドル=32.77円となります。他の国も調べてみると、英国が79ポンド、ドイツは69ユーロ、フランス49ユーロ、イタリア・スペイン36ユーロでした。ネットの記事を鵜呑みにしてしまったのが間違いで、しっかりその国もアマゾンのページを調べるべきでした。
アマゾンの考えるポンド円は1ポンド=49.4円、1ユーロ(ドイツで考えます)=56.5円です。かなり円高水準です。国によって配送料が違うので、値段の違いは当然とも言えますが、プライム会員になると、無料の音楽や映画・ビデオ、クラウドのストーレージ等、様々なサービスも付随します。そうしたサービスを割安で享受できるので、我々はラッキーとも言えますが、日本におけるプライム会員費は今後高くなるのかもしれません。
ついでに言いますと、アマゾンの考えるユーロドルは、1ユーロ=1.72、1ポンドは1.50。ポンドは適正かなと思いますが、ユーロは円同様、現状の1.15前後はかなり割安だと言えますね。