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コラム

(今日の一言)ディールしたいのはトランプ大統領だけ

2019年8月14日 18:40

コラム

 昨日、トランプ政権は対中制裁関税第4弾の一部製品を12月15日に先延ばしし、ライトハイザーUSTR代表と中国劉鶴副首相が電話協議したと発表しました。両者は2週間以内に再び電話協議することで合意しました。市場は米中歩み寄りと解釈し、ドル円やクロス円は2%近く買い戻され、米国株も上昇しました。

 しかし、市場の解釈は甘すぎると思います。常々、トランプ大統領は「中国はディールしたがっている」と言ってますが、ディールしたいのはトランプ大統領の方だというのはバレバレです。とにかく大統領再選に向け、中国には農産物を大量購入してもらい、コーンベルトの農業票を確保したいと言うのが本音でしょう。しかし、余程米国側が妥協しない限り、中国が交渉に応じるとは思えません。

 中国経済も苦しい状況です。しかし、建国70周年を10月に控え、その前に下手な妥協は一切できません。来年11月には米大統領選挙があります。交渉するなら新しい大統領とでしょう。それまで、トランプ大統領はどんどん多くの関税を課すかもしれませんが、昨日の動きでわかるように、さらなる関税はブーメランのように米国経済にネガティブに働きます。それを避けるために先延ばしせざるを得ませんでした。

 トランプ大統領の交渉術は基本的に北朝鮮と同じです。だから両者は気が合うのかもしれません。関税を一方的に課して、一部を先延ばししたら、別に状況は変わってないのに、中国に対して何か良いことをしてるかのように感じさせます。 相当な妥協案が米国側から出るならば別ですが(例えばファーウェイを完全に認める、これまでの関税を撤廃する等々)、そんなことはライトハイザーがのめないでしょう。結局何の進展もないのは明らかです。マーケットはすぐに元に戻るでしょう。円高も続きます。

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