(今日の一言)ガンマがらめ
2019年3月22日 20:40
コラム
今朝のモーニングサテライトでは、為替予測のコーナーで「ガンマがらめなドル円」というタイトルが付いていました。この「ガンマ」というのはオプション用語なのですが、解説された方も、できるだけオプションの原理・用語を使わないように説明しようとして、かえってチンプンカンプンでした。
オプションをある時点の為替レートで現物のポジションに直した時、どの程度の大きさかというのが「デルタ」といいますが、このデルタは、価格の上下動で変わってきます。このデルタの変化率を「ガンマ」と言いますが(こう書くとわかり難いかもしれませんが、デルタを微分したもの、スピードと加速度の関係みたいなものです)、オプションの買い持ちがあることを「ガンマロング」といいます。為替レートが上昇すると、デルタのロングが大きくなるのでドル売りが出ます。反対に下落するとデルタがマイナスの方向に大きくなるので、今度はドル買いできます。
ガンマロングがあまりにも大きいと、ちょっと上がってもドル売り、ちょっと下がっておドル買いとなるため、マーケットが動きにくくなります。そうなると、トレーダーは「ガンマロングがキツイねー」とか言ったりして、動かない相場を嘆きます。
こうした傾向はオプションの満期(行使期限)が近づくとより大きくなります。また、バニラオプションだけでなく、バリア系のオプションも絡むと、極度にマーケットが歪んできます。
オプションの実際の運用を多くの人は経験しません。また、オプションの本を読んでも、実際のところはよくわからないと思います。僕も十数冊オプションの本を見ましたが、日本語で有益と思える本は1冊もないのが現状だと思います。小学校低学年の算数みたいなものか、急激に難しく数式を散りばめたもの、両極端です。
僕の知っている限りで敢えて言えば、「ブラックスワン」で有名なナシーム・ニコラス・タレブ氏の”Dynamic Hedging”でしょうか。ただ、これは英語なので、かなり難しいと思いますし、高価です。
できるだけオプションのことをわかりやすく解説したいなと常々思っています。メルマガの読者の方を対象に、そうしたガイドブック的なものを書きたいと言っておきながら、もう1年ぐらい経ってます。すぐやらないとだめですね。
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