(今日の一言)英国はマジでガチで忖度抜きに民主主義をやっているから混乱するし面白い
2019年3月13日 20:30
コラム
メイ首相の交渉手法等には賛成出来ないのですが、裏表のない、愚直な態度は敬服に値します。だからこそ、混乱していても、国民の支持はそれほど落ちないのでしょう。昨日は、あまりのことに、私もメイ首相に同情してしまいました。
愚直な苦労を積み重ね、メイ首相はついにEU側から(少しばかりの)妥協を引き出しました。それなのに、コックス英法務長官は「英国の法的リスクは変化なし」と明言、全て台無しです。純粋に法的解釈すればそうでしょう。しかし、それではメイ首相があまりにも可愛そうです。何とかならなかったのでしょうか。
これが日本だったら、どうなっていたでしょう。内閣法制局長官辺りが出てきて、菅官房長官の鋭い睨みにビビりながら「バックストップが永続するリスクはなくなったと法的に解釈できます」と忖度して発言してしまうんだろうなと思いました。それでスムーズにことは運び、離脱法案は議会を通過します。「英国と違って、日本は根回しがいいね」などと国民の多くも思います。
しかし、本当の問題は数年後に訪れます。関税同盟から出ようとするとき、欧州側から「問題は解決していないから同意できない」と言われます。「解決した」「解決していない」押し問答になります。永遠に関税同盟から出ることができないことに苛立ち、ついには軍事的な対立にまで至ってしまう、そんな未来もありえます。
スムーズに行かないのは、真面目に民主主義をやっているからです。「英国は一体どうしたんだろうね」という批判をよく聞きますが、国民の見えないところで、忖度の限りを尽くし、様々なことを捻じ曲げてスムーズに事を進めるよりよほど良いでしょう。裏表のない、ガチな民主主義は素晴らしいなと思います。
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