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(今日の一言)顕在化し始めた米国の左傾化

2019年2月14日 17:30

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 トランプ大統領の”State of the Union Address”(一般教書演説)、僕はリアルタイムでは見ていませんでした。ニュース等をチェックしても、特に目新しい内容はない様に見えました。ところが、数日前にあらためて最初から見直したのですが、妙な言葉にひっかかりました。”Socialism”です。

“Here in the United States, we are alarmed by the new calls to adopt socialism in our country. America was founded on liberty and independence, and not government coercion, domination, and control. We are born free and we will stay free. Tonight, we renew our resolve that America will never be a socialist country.” ここ米国で、我々の国に社会主義を採用しようという新たな要求を警戒しています。米国は、自由と独立の上に築かれました、政府の強制や支配、コントロールで築かれたわけではありません。我々は生まれながらに自由、そして自由であり続けます。今夜、米国は決して社会主義国にならないという決意を再確認します。

 流れとしては、北朝鮮やベネズエラと言った社会主義国家を批判したあとなので、自然には聞こえますが、テレビカメラはその直後、民主党サンダース議員をクローズアップしました。明らかに、民主党左派を意識した言葉です。

 トランプ大統領はこれまで光の当たらなかった白人労働者層に訴えることによって大統領となりました。しかし、トランプ大統領でも生活は結局変わらなかったと思う人も増えています。若い世代は、大学ローンを抱え、貧富の格差が極端なまでに広がっていると実感しています。そういう人たちには、サンダース議員の考え方は刺さります。また、今後の米国の人口構成を考えても、ヒスパニック系が増えることになり、民主党支持層が増えることになります。

 大統領の発言は、こうした動きを先取りするものです。さすがはトランプ大統領、はやくも2020年の選挙がどうなるのか、予想して動いています。

 次の大統領選がどうなるのかわかりませんが、個人的にはサンダース議員のような極端な左派出身大統領候補が勝つのではないかという気がしています。米国に疑似社会主義革命が起こるとき、マーケットは大混乱となるでしょう。

マネックス証券「週間為替展望」更新されました。

2019年2月12日 18:10

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マネックス証券にて毎週月曜日更新の動画「週間為替展望」がUPされました。下記ページよりご覧ください。

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(今日の一言)ポジションの傾き

2019年2月12日 15:30

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 1月22、23日、ゴールドマン・サックスはグローバル・マクロ・コンファレンスを香港フォーシーズンズホテルで行いました。メルマガにその一部分、伝え聞いた内容を書きました。興味深かったのは「マクロコミュニティはドル円ショートにかなり傾いている」との話でした。IMM通貨先物市場のポジションを参考に、マーケットはドル円ロングと思っている人も多いでしょう。しかし、僕の実感から言っても、IMMは市場の縮図でも何でもありません。プロフェッショナルトレーダーで気にしている人は一部です。特に金利関係は、マーケットが大きすぎることもありますが、プロは見ていません。

 今、ドル円は年初の「フラッシュ・クラッシュ」から巻き戻し、ジリジリ値を上げています。この上がり方は、いかにも「ショート」。ただ、だいぶポジションは切れつつあるような感じもします。米国が金融引き締め政策を転換したのに(したからこそ?)ドル全面高というのは興味深い現象。金利よりも、資本市場の動乱が収まり、資金逃避が止まったことが大きいのでしょう。

 現在の様に金融市場・資本市場が大きくなりすぎると、そのマーケットを維持することが大事になってきます。下がると実体経済に影響を及ぼすからです。一番都合の良いのは高値圏でのもみ合いでしょうか。上がり過ぎても、下落リスクが高まります。今年も一筋縄には行かない市場だなと感じます。

2月13日(水)、22時30分よりラジオ日経「北野誠のトコトン投資やりまっせ」に出演します。

2019年2月12日 13:10

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 2月13日(水)ラジオ日経「北野誠のトコトン投資やりまっせ」に出演します。お時間ご都合つくようであれば、ぜひ聞いて下さい。 

http://www.radionikkei.jp/kitano_toshi/

(今日の一言) 豪中銀は当然の方向転換、予想外ではない

2019年2月8日 20:10

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 米国が金融引き締め政策をやめたことで、引き締め路線を「変更」した中銀が相次いだ1週間でした。メキシコは引き締めスタンスを中立に戻しましたし、インドはなんと利下げに転じました。利下げ後のインドルピーはむしろ買い戻されています。売り込まれたのはタイバーツ。王女様ご出馬とのことで、一気に目が離せなくなりました。

 先進国通貨では、豪中銀に振り回された1週間だったとも言えます。豪中銀がスタンスを引き締め方向からニュートラルに戻したというのは「意外」「予想外」という声も聞かれますが、もう何ヶ月も住宅の指標が悪く、予想を下回る経済統計が続き、しかも中国経済に急ブレーキがかかっている状態で、「いつ利上げするか考えてるところなんですよー」なんて言うわけがない。本日発表された四半期レポートで経済見通しを劇的に引き下げてきましたが、火曜日の理事会では、四半期レポートの内容がわかっていたはずです。それなのに中途半端な内容の声明文を出して市場をミスリードしたのは、問題でしょう。豪ドルが買われてしまったので、ロウ豪中銀総裁も慌てたと思います。

米金融政策変更のインパクトは、今更ながらに大きいと感じます。世界中、一気に金融緩和に大きくシフトしそうです。来月にはECBがなにがしかの金融緩和(TLTRO?)を打ち出してくると思います。日本は政策を変えようがないので、こうなるとだんだん苦しくなりますね。

(今日の一言)26日

2019年2月7日 18:00

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 1月3日のフラッシュ・クラッシュから、ビジネスディ(営業日)で今日は25日目に当たり、明日が26日目です。何を言いたいかというと、一目均衡表で26日は重要な日だということです。急激に落ちる雲にぶつかりますし、遅行スパンも価格帯にぶつかります(少し横にぬけてます)。これを見ていると、もしドル円が落ちるとすれば今日なのかもしれない、もしくは落ちないで上がっていくのかもしれないと、悩ましく思っています。

 しかし、なぜ26という数字が一目均衡表において重要なのでしょうか。ま、基本数値には9、17、26。。。といろいろありますが、基準線、先行スパン、遅行スパンには26が決定的に重要な数字です。昔は、土曜日も株式市場が開いていたので、一月(ひとつき)30日のうち、日曜日を除く26日が営業日だったからかもしれませんし、膨大な計算の結果得られた数字なのかもしれません。一目山人氏が一目均衡表を作った時代はコンピューターがありませんでした。アルバイトの学生3千人(すみません、定かではありません)雇って計算したと読んだことがありますが、現在のコンピューターの力を使ったら、もしかしたら違う均衡表になっていたのかもしれません。

 今コンピューターで最適化すれば、もしかすると26日ではなくて、違う数字が出てくるかもしれません。でも、最適化して均衡表を使うこともいいのかもしれませんが、均衡表の信者は、やはり26日をそのまま使うべきかなと思います。均衡表は時間論や波動論、様々な要素が総合して一つの宗教になっているので、信者としては教祖の教えそのままを味わうほうが幸せな感じがします。

(今日の一言)次の金融危機を懸念するロゴフ教授

2019年2月6日 20:00

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 米国株は力強く回復してますが、次の経済危機、金融危機を懸念する声は消えません。「国家は破綻する」の著者であり、元IMFチーフエコノミスト、ケネス・ロゴフ教授は英ガーディアン紙に「次の金融危機はすぐに来るかもしれない (The next financial crisis may come soon – are we all that safe?)」と書いています。

 リーマンショック後の対応で、金融機関はかつてと違いかなり危機に対する対応力を付けたことになっています。それはそのとおりだと思います。しかし、危機は予想した方向からやってくるわけではありません。ロゴ不教授は従来とは全く違う形から金融危機は起こり得ると警告しています。それはサイバー攻撃かもしれないし、ソブリンデフォルトかもしれないと。

 年末年始の頃から比べると、米国を中心に株価は大きく戻しました。しかし、危機が消えたわけではないと思います。米国が実質的に利上げを中止したので、新興国投資が良いと仰る方もいます。米金利上昇が新興国経済を圧迫するので、米金融引き締めが止まったことは、確かに新興国には有利に働きますが、経済はそれだけで動いているわけではありません。本当に危機が来た場合、最も影響を被るのは新興国です。

 本日、豪ドルが急落しました。ロウ豪中銀総裁の発言がきっかけですが、1月3日に70円前後まで落ちた豪ドルを80円近辺で買うというは、どうかと思います。危機は消えてないでしょう、そして次の危機の震源はおそらく中国になります。その時、豪ドルは最も影響を受ける通貨です。今はまだ警戒を解くタイミングではないと思います。

(今日の一言)ビル・グロース氏の引退

2019年2月5日 17:30

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 世界最大の債券ファンド、PIMCO創業者の一人で、Janus Capital のファンドマネージャーであったビル・グロース氏が引退すると昨日発表がありました。感慨深いものがあります。

 数年ほど前までは、FOMCの発表等があるとき、CNBCのスタジオには必ずビル・グロース氏がいました。彼が発するコメント、解釈が業界の「ベンチマーク」であり、正しい正しくないを超えて、皆が拝聴しました。なぜならその時彼は本当に債券「王」だったからです。

 彼が月に一度書く”Investment Outlook”は、ウィットに富んで面白いものでした。著書もあります。「発想の大転換―21世紀に向けての投資運用」は、トレードというか、トレーダーという生き方のヒントが満載されたものでした。正確な言葉は忘れましたが、トレーディングで失敗する人は「業界で生き残ろうという執念にかけている」と厳しく指摘され、ハッとした覚えがあります。

 ここ数年は残念な感じでした。バフェット氏やジョージ・ソロス氏が依然として現役でいることを考えると、引退はちょっと早い(74歳なので、十分遅いのですが)? といいますか、やはり寂しいなと思います。

(今日の一言)利食いは自己否定だから難しい

2019年2月4日 19:40

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 トレードにはエントリーと利食い、この2つがあります。誰しも言うのが、「利食い」の難しさ。「もっと待てばよかった」という時もあれば、「なぜあの時に利食いしなかったのか。。。」と悔いることも多くあります。まあ、完璧な利食いというものはありません。利食いをしても、しなくても悔いが残りますから、「割り切り」とか「妥協」が必要になるのでしょう。

 エントリーの時には、いろいろ相場の材料を考え、シナリオを描き、チャートを見て、いろいろ納得して決めます。要は理詰め、これしかないというアイデアを構築して入ります。ところが、利食いは(損切りもそうですが)、それをあっさりと否定しなければなりません。一生懸命考えたアイデアを「終わった」と捨てるのがなかなかできないので、逡巡します。利食いは自己否定、だから難しいんだなと思います。

マネックス証券「週間為替展望」更新、今週は”旧正月で静かな市場?”です

2019年2月4日 19:30

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マネックス証券にて毎週月曜日更新の動画「週間為替展望」がUPされました。今回のテーマは「旧正月で静かな市場?」です。動画は下記ページよりご覧ください。

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(今日の一言)気になる、欧州と中国の景気

2019年2月1日 19:50

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 本日発表になった中国Caixin製造業PMIの数字は48.3とかなり低い数字となった。2016年2月以来だろうか。その頃は、中国発の景気減速が世界を巻き込むと恐れられ、2月のG20では「上海合意」なるものが米中の間で合意されたとまことしやかに噂された。

 中国に歩調を合わせるかのように、欧州の経済指標も悪化してきている。昨日発表された独12月小売売上高は前月比予想-0.6%のところ-4.3%と2007年以来の落ち込みとなった。独経済と中国経済は、地理的に離れてはいるが、実は密接だ。中国富裕層の好む高級品は欧州で作られている。ファッションブランドもそうだが、高級ドイツ車の最大市場は中国だ。中国が高級品を買っったので、2017年の欧州経済は盤石だった。

 今回、中国当局は様々な景気刺激策を出している。しかも、結構な金額だ。リーマンショックの時はよく効いていたのに、どうして今は反応が薄いのか、よくわからないところがある。もし今回、何か経済危機が来るのであれば、中国もしくは欧州から来るのではないかと思う。

(今日の一言)金とプラチナの価格差、ついに500ドルに

2019年1月31日 19:00

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 2015年ぐらいでしょうか、金とプラチナの価格差が逆転したのは。それまで一貫してプラチナの価格のほうが金を上回っていました。だからこそクレジットカードの「プラチナカード」は「ゴールドカード」の上位に来ます。しかし、それもそろそろ変わってくるのでしょうか。

 ディーゼル排除の動きがあるとはいえ、いつかはもとに戻って白金が金を上回るのではと素人ながらに思ってましたが、どうもそうでもないようです。以前、コモディティーの専門家に聞くと「あれは、触ってはいけない」と教えてくれました。つまり、スペシャリストの間では、ずいぶん前からゴールドとプラチナの逆転は、不可逆的な面があるとわかっていたようです。因果関係のある裁定取引、例えば債券市場であればスプレッドはすぐ埋まるのでしょうが、コモディティの世界は難しいなと思いました。

2月1日、16時よりラジオ日経「GoGoジャングルマーケット」に出演します。

2019年1月31日 0:42

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 2月1日(金)ラジオ日経「GoGoジャングルマーケット」に出演します。是非、お聞きになって頂けたらとおもいます。 

http://www.radionikkei.jp/gogo/

(今日の一言)高い、若者の満足度

2019年1月30日 20:30

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 本日の朝日新聞15面、経済同友会代表幹事・小林喜光さんの「平成は日本敗北の時代」は、全く仰られる通りという内容でした。
https://digital.asahi.com/articles/ASM1P41DQM1PUPQJ006.html

 この中で少し驚いたのが、国民の満足度調査で、今の生活に満足という人が高く(74.7%)、特に若者(19~29歳)は83.2%とという事実です。満足度が高いということは良いことですが、給料が低くて結婚できないと問題になっているのに満足度が高いというのはどういうことなんでしょうか?

 確かに相対的には貧乏になっているのかもしれませんが、生活は楽しいのかもしれません。食事は美味しいし、スマホがあれば、ゲームもできるし、テレビや動画もいくらでも見ることができます。

 しかし、小林氏も指摘してますが、アベノミクスは時間稼ぎにしか過ぎません。現在の日本は、金利はゼロ、超円安、株価も安定とマクロ的にはこれ以上の環境はなく、何かあるとすれば景気には悪い方向にしか行きません。満足は良いのですが、米中対立もあり、今の状況は長続きしないかもしれす、そのリスクは高いと感じます。

(今日の一言)米中対立

2019年1月30日 0:00

コラム

 人気テレビドラマ「24」、どのシリーズの何回目か忘れましたがこんなシーンが有りました。大統領が「そんなことしたら、中国のような大国と戦争になるぞ」と叫んだ様な気がします(すみません、うろ覚えなので、全然正確ではありません)。ただ驚いたのは、米大統領という世界一の権力者なのに、中国との戦争に「ビビった」ということです。

 米大統領という立場であれば、世界にとって必要であれば軍事行動を取る、そうでなければ控えるべきであって、「ビビって」はいけないはずですが、現実はそんなものかなとも思いました。トランプ大統領がなぜ登場したのか、過去のしがらみのある政治家だと、絶対に中国と対決できなかったのでしょう。「ビビる」人でも駄目です。中国と対峙するためには、トランプ大統領がどうしても必要だった、歴史の必然なのかなとも思います。

 米国の目的はどこにあるのか。米中対立に終わりがないという言い方もされますが、おそらく中国共産党を倒す、究極はそこだと思います。中国はそのうち米国以上の経済規模になり世界一の国になりますが、その国を支配するのが今のままの中国共産党では世界中が困ります。この米中対立は負けられない戦いです。

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